小林 弘之
浮腫は全身性と局所性に大きく分類されます。足(下腿:かたい)の浮腫は外来診療でよく見受ける所見ですが、そのほとんどは病的意義の乏しいものつまり心配ないものです。局所性の浮腫や急激に出現、増悪する全身性の浮腫の場合は不安のため受診も早々にされると思いますが、徐々に出現する浮腫の場合、自覚症状に乏しく受診時期も遅くなりがちと思われます。全身性の浮腫も初期には主に足に出現しその後、全身へと広がります。
まずはご自分で内側のくるぶしから2!)3cmほど上の部位を親指で5秒ほど圧迫して下さい(教科書的には1finger 1inch 1minute:1本の指で内側のくるぶしの2.54cm上部を1分間軽く圧迫し下腿の浮腫を判定すると記載されています)。浮腫がありますと指の跡がくっきりとくぼんで見えます。このような状態で体重が最近増えたり、靴がきつくなったり、ベルトがきつくなつたり、1日の体重変化が数kgもある場合は、その後尿の出が少なくなったり、夜間に排尿する事が増えたり、横になると咳が出たり息苦しい等々の自覚症状が出現し、悪化する可能性があり是非受診して検査をお受け下さい。
しかし指の跡が残らない浮腫が生じる病気(甲状腺機能低下症に伴う浮腫やリンパ性浮腫など)もあるため、明らかに最近足が腫れてきたと自覚されましたら、やはり早々の受診をお勧めします。
はじめにも記載しましたが、上記のような変化のない下腿の浮腫の場合は、塩分を控えたり、長時間の立ち仕事を控えたり、不規則な生活を改善する事で軽減すると考えられます。
最後に主な浮腫の原因を提示します。
内分泌疾患(ホルモン障害などによる)、特発性、その他
(2004.03.09)