大川 豊
(西区 整形外科・眼科大川クリニック)
整形外科の患者さんの多くは「痛み」で受診されます。痛みの原因は数多くありますが、患部を「温めたほうがよいですか?冷やしたほうがよいですか?」との質問が非常に多くあります。
打撲や捻挫などのけがの場合は、けがをした直後から2~3日は冷やしたほうがよろしいです。患部は腫れ、内出血で青くなったり、熱を持ったりします。この時に冷やしてあげると血管が収縮し、内出血や腫れを抑え、痛みの原因になる物質の生成を抑えて痛みを軽くすることができます。けがでなくても冷やしたほうが良い病気があります。代表的なものは比較的高齢の方によくみられる偽痛風などの急性関節炎です。ある日突然痛みだし、患部は腫れて熱を持ちます。全身に微熱が出る場合もあります。このような場合にも患部を冷やすと有効です。病院に行って診断を受けるまで判断に迷うかもしれませんが、ポイントは急に痛くなり、腫れて、熱を持つことです。この場合は冷やしていただいてまず間違いはありません。
次に、高齢の方で何年も前から腰や膝が痛い、など慢性の症状の場合は温めたほうがよいです。温めると血行を促進し、筋肉を柔らかくし、痛みを軽減できるといわれています。
けがの場合でも数週間経過しても痛むときは、同様の理由で温めたほうが治癒を促進できるといわれています。余談ですが、温めるときカイロなどを直接肌にあてますと低温やけどの原因になりますのでご注意ください。腰なら腰巻を、膝なら保温用サポーターを使うなどして「温める」よりは「冷やさないようにする」感覚でよろしいかと思います。
「温めた方がよいですね」と答えると「では温シップをください」とよく言われます。温シップは正確には温「感」シップです。トウガラシエキスが含まれており、貼った直後は冷たく感じますがじわじわと暖かい「感じ」がしてきます。カイロのようにシップ自体が熱を発して温める効果はありません。したがって温める目的で温シップを使うのは正しくありません。温めたほうが良い病気のとき、冷シップを使われても温シップを使われても効果に差はありません。
(2014.1.30)
(2014.01.30)