竹内 菊博
(中央区 たけうち小児クリニック)
現在、母子健康手帳の「保護者の記録」の生後3-4ヶ月の項には「果汁やスープを飲ませていますか(5ヶ月ごろから離乳が始められます)」と記載されています。しかし、2006年12月20日、母親への授乳・離乳指導の在り方を検討している厚生労働省の研究会は、「離乳開始前に薄めた果汁やスープを与える必要性はない」との見解をまとめました。これは、今、おじいちゃん、おばあちゃんの世代の方には少し衝撃的なお話かなと思い、ご紹介いたします。 以前から日本では‘おふろあがりの水分補給に‘と、赤ちゃんにミルクや母乳以外の、うすめた果汁などをすすめてきました。わたしも医者になりたてのころはそのようにお話していました。いままでと大幅に方針変更しており、とまどう方も多いのではないかと思われます。なぜ果汁が離乳早期に使われるようになったのでしょうか?昔の日本ではミルクのビタミンC含有量が少なかったため、その補充を目的としていたということが一因のようです。そのことが‘慣例的に‘継続されていたと考えられます。現在はビタミンCを含め栄養学的にミルクや母乳のみで十分であることがわかっており、果汁の出番はなくなっています。また、乳児期早期の果汁、スープ摂取が、その後のアレルギーに関係する可能性も指摘されております。赤ちゃんも味に慣れるまで嫌がることが多く、四苦八苦された経験のあるお母さんも多いのではないでしょうか? 赤ちゃんにとって生後5~6ヶ月までは母乳あるいはミルクのみで十分です。また、離乳食も急いでやらなくともゆっくりじっくり楽しみながらやっていきましょう。
(2007.04.19)