橋本 謹也
新潟市の休日や時間外における小児救急医療は昭和48年に始まりました。その後、時代の要請に応えて徐々に時間枠が拡大され、平成8年からは1年365日すべて翌朝までの診療体制となり、1年を通してほぼ24時間、小児医療の窓口がある体制となっています。また、入院にも対応するために、急患診療センターの診療(一次救急)にて入院治療が必要と判断された場合は、市中病院の小児科医が輪番制で入院の受け入れ(二次救急)を行っています。新潟市のこの体制は全国的にも進んだ小児救急医療体制であり、このような体制を組む事で子ども達の健康を支えています。新潟市小児科医会は当初よりこの体制に参加協力し、小児救急医療体制の維持に努めてきました。
子ども達、特に乳幼児期は、休日や夜間に急な症状が出て具合が悪くなる事が多く、御家族も心配される事が多いと思います。その様な不安を少しでも和らげ、子どもたちが健やかに過ごし、成長できるようにと願い、私たち小児科医は休日や夜間の救急診療を行っております。
現在、急患診療センターでは年間延べ2万数千人程の子ども達を診療しています。また、年間350人程が急患診療センターからの紹介で二次救急輪番病院へ入院しております。
さて、これら小児救急医療体制の維持には、小児科医はもとより行政を含めてたくさんの人たちが関わっております。しかし、全国的な状況と同じく新潟市においても、病院勤務の小児科医の不足や救急外来のコンビニ化等、救急体制を維持してゆくためには厳しい状況が増えつつあります。また、政令市になり救急対象地域の広域化等がそれらをより一層難しくしてきております。
小児科医は内科医と比較してその数が少なく、自分の診療所や病院の診療以外に、時間外、休日、深夜と救急診療してゆくことは体力的にもかなり厳しいことですが、すべては未来を担う子ども達のためにと思い働いています。また、二次輪番病院の先生方も同じ思いで、厳しい状況の中、いつ入院があっても大丈夫なように病院に泊って紹介入院に備えています。
救急体制がなくなると一番困るのは子ども達です。現状での資源や人材に限りがある中で、新潟市の救急医療体制を守り育てる為には、医療者側だけでなく、受診する患者さんも一緒になっての協力が必要です。今後とも私たち小児科医は御家族とともに、子ども達の健康を願い、健やかな成長を支えてゆきたいと思っております。
(2009.03.24)