「かかりつけ医」は、皆さんのお宅の近くにいて病気の治療だけでなく、健康や食事や運動などについて、いつでも気軽に相談できる、皆さんが選ぶ医師のことです。
皆さんの多くはご自分の病気によって、受診する病院や診療所(開業医)を決めていると思います。新潟市は医療機関が充実しており、皆さんはそのなかからご自分が受診しようと思う病院や開業医を自由に選ぶことができます。これを「フリーアクセス」といいますが、日本の医療制度の優れた点のひとつです。
医学の進歩により診療科は細分化されてきています。総合病院では臓器別に診療科を分けるところが増えてきています。皆さんがご自分の病気の治療には、どの科を受診したら良いか迷うことも多いのではないでしょうか。初めから専門医に診てもらいたいとすべての皆さんが思ってしまうと、病院の外来がパンクしてしまいますし、病院の専門医の負担が大変になります。専門医の受診が必要となれば、「かかりつけ医」は信頼できる医師を紹介いたします。
「かかりつけ医」を選ぶ理由のひとつとして、いつでも診てもらえるということがあるでしょう。開業医の多くは往診や訪問診療ができます。しかしひとりで仕事をしている医師が、24時間いつでも対応することは困難です。その点はご理解いただきたいと思います。率直に話をすることによって状況が打開し、良い人間関係が生まれます。気軽に相談できる「かかりつけ医」とめぐりあわれることを願っております。
「病」は病院のこと、「診」は診療所(開業医)のことです。「病診連携事業」は地域医療の充実を図り、効率の良い医療を提供するために、新潟市医師会が進めている事業です。この事業に参加している病院は、以下の10の中核病院です。開業医はこれらの病院のなかから選んで病診連携の登録します。病院によって多少の違いがありますが、患者さんの紹介や検査の予約がスムーズに行われています。この連携により、医師にとっては患者さんの診療情報を共有することが可能になり、患者さんにとっては待ち時間の短縮と検査の重複が避けられ、医療費の節約ができます。さらに登録した開業医は、病院で開催されるいろいろな講演会や研修会に参加でき、日常的な治療技術や最新の医学情報について学ぶことができます。
在宅医療には訪問診療、訪問看護、訪問介護があります。
皆さんが病気やけがで病院に入院されたとき、毎日医師の診察や看護婦の看護を受けることができます。急性期の治療が終わり、退院したあと自宅で療養するときのことを考えてみましょう。慢性期には毎日の診察は必要なくなっていますが、状態によって週1~2回あるいは月1~2回、訪問する医師の診察を受ければ安心なのではないでしょうか。これが訪問診療です。訪問看護では、日常的な患者さんのお世話は家族の手に任されることになりますが、専門的な医療処置は病院や訪問看護ステーションから派遣される看護婦が行うことになります。訪問介護では家族の皆さんの負担を軽くするために、日常的なお世話を介護サービス事業者から派遣されるホームヘルパーが行います。このように病院、開業医、訪問看護ステーション、介護サービス事業者が協力してあって在宅医療が行われています。そして医療保険と介護保険がこの在宅医療を支えています。
在宅医療を行っている開業医は、患者さんの病状が悪化した場合は病院に入院できるように、病院との連携体制をとっています。在宅医療を希望される患者さんは、安心して私たちにお任せいただきたいと思います。「かかりつけ医」として責任を持って、自宅で療養を希望される患者さんの治療にあたりたいと思っております。